日本馬は凱旋門賞を制覇する事が出来るのか? ~非根幹距離でこそ、善戦マンよ再び~

2017/10/10更新

Orfevre_2013.jpg
2013年凱旋門賞オルフェーヴル





第96回 凱旋門賞 GⅠ



芝2400m 18頭 / シャンティイ / 天気: / 馬場:重 / 発走:23:05
結果 優勝馬 エネイブル

関連記事
凱旋門賞とは非根幹の鬼の日本馬でこそ ~凱旋門賞における日本馬競走成績~
日本馬は凱旋門賞を制覇する事が出来るのか? ~非根幹要素の準最強クラスでこそ~

外部リンク
サトノダイヤモンド15着 仏競馬の凱旋門賞、優勝はエネイブル 日本経済新聞

目次にもどる


凱旋門賞とは非根幹の鬼でこそ



■凱旋門賞と日本ダービーは違う

凱旋門賞は確かに2400m戦であり、いわゆる根幹距離のレースなのですが、日本における東京2400mを中心とした根幹距離が得意な日本のスターホースは凡走する傾向にあります。

そこで、思ったのです。「欧州の根幹距離と日本の根幹距離はイコールではない」と言えないか、と。

つまり、「欧州の根幹距離で問われる資質とは、日本における非根幹距離の資質の事なのではないのか」と思ったのです。

なので、東京2400mでこその競走馬は凡走するとみて良いと考えています。

参考記事
社台系「根幹」距離GⅠレースと「非根幹」宝塚記念、勝ち馬



GⅠ1勝馬 ダービー 東京2400m 根幹距離レース マカヒキ 牡3 ディープインパクト産駒
2016年凱旋門賞 14着

GⅠ1勝馬 宝塚記念 阪神2200m 非根幹距離レース ナカヤマフェスタ 牡4 ステイゴールド産駒
2010年凱旋門賞  2着 

ナカヤマフェスタの父はステイゴールドで、ステイゴールド産駒自体、非根幹距離、重馬場も得意です。ステイゴールド産駒が凱旋門賞と相性が良いのは重の鬼だけでなく、非根幹の鬼である事も由来しているかもしれません。
目次にもどる



グランプリと直結する凱旋門賞



実際、直結する。

今年で言うなら、宝塚記念勝ち馬のサトノクラウンである。様々なところでこれも囁かれていたが、ダイヤモンドより、クラウンの方が凱旋門賞に合っていたのも本当だろう。

グランプリレースでも、特に宝塚記念との適性は、そのまま、凱旋門賞と言っていいし、逆に、非根幹距離である2200mのレース宝塚記念を好走する馬は、東京2400mの大レース(ジャパンC、日本ダービー)は凡走しやすい。

もちろん、どちらの条件をも好走できる競走馬が良いのだが、そんなものは滅多にいない。東京2400mでこその社台系超良血スターホースからは非根幹距離でこそのスターホースは現れない。

当然、社台系のいかにもなダービー馬の凱旋門賞挑戦は難しいチャレンジといえる。まぁ、それも馬主の道楽なら止められないとは思うが...。


非根幹距離、荒れ馬場、重馬場大歓迎の代表種牡馬がステイゴールドなのである。

そして、非根幹距離の代表レースがグランプリの宝塚記念と有馬記念。


宝塚記念におけるステイゴールド産駒勝ち馬

09年 ドリームジャーニー 
10年 ナカヤマフェスタ  
12年 オルフェーヴル  
13.14年ゴールドシップ


有馬記念におけるステイゴールド産駒勝ち馬

09年 ドリームジャーニー
11.13年 オルフェーヴル
12年 ゴールドシップ


凱旋門賞におけるステイゴールド産駒成績

オルフェーブル2戦2着2回、ナカヤマフェスタ2戦2着1回
ゴールドシップ14着
ドリームジャーニー未出走 【0-3-0-2】


では、凱旋門賞出走ステイゴールド産駒の東京根幹距離大レース成績

ゴールドシップ
2012年ダービー   5着 2番人
2013年ジャパンC 15着 2番人
2015年ジャパンC 10着 2番人 【0-0-0-3】

ナカヤマフェスタ 
2009年ダービー   4着 9番人
2010年ジャパンC 14着 2番人 【0-0-0-2】

2頭とも典型的なステイゴールド産駒と言える。オルフェーブルは別格なので割愛します。

因みに2頭のグランプリ成績

ゴールドシップ
2012年有馬記念 1着 1番人気
2013年宝塚記念 1着 2番人気
2013年有馬記念 3着 2番人気
2014年宝塚記念 1着 1番人気
2014年有馬記念 3着 1番人気
2015年宝塚記念 15着 1番人気
2015年有馬記念 8着 1番人気 【3-0-2-2】

ナカヤマフェスタ
2010年宝塚記念 1着 8番人気 【1-0-0-0】


やはりと言うか、凱旋門賞にはグランプリ実績が重要と言えるし、とりわけ宝塚記念が直結する。競馬関係者も理解しての事とも思うが、時期的な事情も込みで宝塚記念を重要視しているのではないだろうか。

そして、昨今、特に思うのが宝塚記念の馬場状態の極悪さ。時期的なものもあるが、とにかく時計もかかる。当然、そんな馬場ではディープ産駒は凡走しやすいし、逆に非根幹、重馬場大好き、スタミナ瞬発型の台頭となる。もちろん、その代表格はステイゴールド産駒だった。
目次にもどる




日本的スターホースが凡走する凱旋門賞



ディープインパクト産駒の凱旋門賞成績

2017年 サトノダイヤモンド 牡4 15着 サトノノブレス 牡7 16着
2016年 マカヒキ 牡3 14着
2014年 ハープスター 牝3 6着
2013年 キズナ 牡3 4着

では、キズナとハープスターを好走組とします。以外は凡走組。


凱旋門賞好走ディープインパクト産駒の東京根幹距離大レース(ダービー、オークス、JC)成績

キズナ
2013年ダービー   1着 1番人気 【1-0-0-0】 

ハープスター
2014年オークス  1着 2番人気  
2014年ジャパンC  5着 5番人気 【1-0-0-1】

ちなみにキズナは非ノーザンファームはおろか、非社台。

凱旋門賞凡走ディープインパクト産駒の東京根幹距離大レース(ダービー、オークス、JC)成績

マカヒキ 
2016年ダービー 1着 3番人気 【1-0-0-0】

サトノダイヤモンド
2016年ダービー 2着 2番人気 【0-1-0-0】

サトノノブレス 
未出走 


凱旋門賞凡走ディープインパクト産駒のグランプリ成績

マカヒキ
未出走

サトノダイヤモンド
2016年有馬記念 1着 1番人気 【1-0-0-0】


ディープインパクト産駒は顕著な傾向は出なかったが、サンプルも少ないし、有馬記念自体もここ数年傾向が変わっているのも由来しているのではないのか。傾向が変わっているというのは、もちろん、ディープインパクト産駒向きになっていると言う事だ。


日本競馬の大きな転機とも言われているのが2003年でこの年以降、馬場改修改修により社台、非社台系生産者のパワーバランスが大きく変わったと言われている。

サンデーサイレンス産駒初の年度代表馬2003年デビューのクラシック世代なのは、なんら、偶然でもなく2002年以前の条件において、必ずしもサンデーサイレンス産駒が最強とか、とりわけディープインパクト産駒が日本最強という事もなかったかもしれない。

もちろん、サンデーサイレンスが日本競馬のレベルを世界基準に引き上げたのも事実だし、サンデーがいなければ、今回の主役ステイゴールドもいない。

ただ、日本と欧州の馬場が違い過ぎる中で、その日本のスターホースが挑戦する事に意味がないと言う事。つまり、ディープ産駒が活躍するのが日本競馬なのだとして、そして、その中でのディープ産駒のスターホースが凡走する事に意味があるのかという事。

もちろんこれは、凱旋門賞信仰否定にもつながるのだが、そうではない。日本の馬場がディープ産駒仕様であるのだとしたならば、なおさら、非根幹、非社台の活躍の場を奪うべきでない。それはそのまま、非根幹、非社台系競走馬こそ凱旋門賞に挑戦すべきと言う事なのである。
目次にもどる




善戦マンと揶揄されるも...



やはり、ステイゴールド自身も、日本の馬場への適性自体合っていなかったのでしょうね。


ディープインパクト産駒とステイゴールド産駒の凱旋門賞成績比較

ディープインパクト産駒の凱旋門賞成績は今年も含め2013年キズナの4着を最高に【0-0-0-5】

ステイゴールド産駒の凱旋門賞成績、オルフェーブルの2012、2013年の連続2着とナカヤマフェスタの驚きの2着で計3回【0-3-0-2】

凱旋門賞における結果は歴然で、ステイゴールド産駒は5回出走し、うち3回も惜しい競馬をしている。競馬を知るものなら、そして、大レースにおいて勝てないまでも、6割で勝ち負けになる事の難しさを理解できるだろう。

ディープインパクト産駒は4着が最高。それ以外は大惨敗ともいえる。父のディープインパクト自身が2006年凱旋門賞において3着に入線(のちに失格) するのだが、本質的には欧州の馬場は向いていないのだろう、この3着が産駒のひとつの目安とも言えるかもしれない。

凱旋門賞2着に2頭、計3回と日本競馬史上、もっとも凱旋門賞制覇に近づけたのは、その産駒を輩出し続けたステイゴールドあってこそ。そして、自身の最後の大仕事であった。彼は2015年2月5日に21歳で亡くなったが、現役時代【50戦7勝 (日本)48戦5勝 (UAE)1戦1勝 (香港)1戦1勝】 2着12回 3着8回と善戦マンの異名をもとる。

GⅠタイトル獲得も引退レースまで持ち越すのだが、そのうち、GⅠレースでの2着4回 3着2回も何ともほほえましい。

自身の産駒とのギャップが何とも言えない気持ちにさせる。
目次にもどる



黄金旅程



「黄金旅程」
ステイゴールドが長い旅路の果て、終着駅にて香港ジョッキークラブからもらった名前である。

通算50戦目の引退レースとなったのは、香港・沙田(シャティン)競馬場で毎年12月に行われる香港国際競走のひとつ「香港ヴァーズ G1」であった。

国際レーティングでは、120ポンドの評価を得ているステイゴールドは、抜けたトップクラスの存在であり、当日のオッズも2倍と1番人気に支持されていた。

善戦マンの勝負が始まった。430キロにも満たない小さな体で、大きなケガをする事もなく走り続けた6年、最後のレースを迎える事となる。

「香港ヴァーズ」....

GⅠレースではあるが臆することもない、シルバーメダルは要らない。50戦目のレースをこの地で迎えたのは、もちろんそんなもののためではない....。




武豊のレース後のコメントであるが、ゴール前での追い込みを「まるで背中に羽が生えたようだった」と、そう評した。そして、エクラールがドバイで破ったファンタスティックライトと同じ、青い勝負服を用いるゴドルフィンの所有馬であったことから、「どうもステイゴールドはゴドルフィンのブルーの勝負服を見ると燃えるみたい」とも語っていた。

共有馬主のひとり、競馬評論家である山野浩一は、「まるで一瞬ビデオがカットされ、一秒くらい飛んだかのように、次の瞬間にはエクラールをとらえていた。いったいその間をどんなスピードで走ったのだろう。少なくとも私は過去にあのような瞬間的なスピードを発揮した馬を見たことはない」とのちに感想を述べている。

ステイゴールドは2001年JRA賞特別賞を授与された。生涯G1出走数20回 重賞連続出走回数36回と、いずれもナイスネイチャをしのぐJRA記録となる。
目次にもどる



継がれる遺志



現地表記の「黄金旅程」は、ステイゴールド自身の競走馬としての道程をそのまま再現したともいえる名前である。そして、香港表記の馬名を見たとき、何故か泣きそうになったのを今でも、覚えている。いい名前をもらったとも思う。

代表産駒の馬名も、この「黄金旅程」からの連想となっている。その代表産駒が、ドリームジャーニーであり、父の意志を継ぎ凱旋門賞に挑戦した、オルフェーヴル、ゴールドシップの2頭である。

そして、2010年凱旋門賞2着の、ナカヤマフェスタもステイゴールド産駒であり、ステイゴールド自身は善戦マンではあったが、引退レースが海外のGⅠレースで、しかも悲願でもある1着となる。

産駒も非根幹要素が強く出てはいるが、凱旋門賞2着のオルフェーヴル、ナカヤマフェスタと輩出し、ゴールドシップやドリームジャーニーもいる。産駒の日本における成績からも、父をランクアップさせたような競走馬となっていて、是非ともステイゴールドの血脈から凱旋門賞馬を見てみたい気持ちに、強くさせられる...。


ここまで、ディープインパクト産駒の様なバリバリの社台系スターホースではなく、ステイゴールド産駒に限らずではありますが、雑草魂的な非エリート、非根幹要素的な産駒から凱旋門賞馬が輩出されるかも知れない可能性を示しています。

そして、それは善戦マンと揶揄された彼の様な競走馬かも知れません....。



目次にもどる

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

Comments 0

Leave a reply