Jリーグがプロ野球を革新させる。 ~球界再編から地方分権へ~

17/08/20更新



球界再編とNPBの改革


-激動の2004年のプロ野球界-

13年前の2004年にプロ野球再編問題、いわゆる1リーグ化騒動が起きる。近鉄、オリックス両球団の合併をきっかけに、10球団による「1リーグ制への移行」を画策する読売に反対して「2リーグ12球団制の維持」を主張する選手会が、プロ野球史上初のストライキを決行。この問題により、東北楽天イーグルスの新規参加が認められ、選手会と多くのファンの望む形で決着をする。

問題は続く。当時存在したドラフトにおける「自由獲得枠」を利用して獲得しようとした大学生選手に対し、読売、阪神、横浜(現DeNA)3球団がドラフト前から「栄養費」の名目で金品を渡していたことも発覚。3球団のオーナー、球団社長が辞任する。

さらに続く。西武鉄道グループの不正経理が発覚。西武球団オーナーが辞任。ダイエー本社の経営不振から、福岡ダイエーホークスがソフトバンクに売却されるなど、プロ野球は、NPBと選手会が「プロ野球構造改革協議会」を設け、プロ野球界の「改革」に手を付けることとなる。


-あれから「改革」は進んだか-

セ・パ交流戦が行われるようになったことが最も具体的な変更点で、ファン視点でも野球を語るうえでのターニングポイントと言えるだろう。それによって読売の一極集中に支えられているセ・リーグだけでなく、パ・リーグ各球団にも多くのファンの注目が集まるようになり、さらに、札幌、仙台、千葉、福岡と全国に広がったパ球団は、地域に密着したビジネスを展開をする事になる。そして、人気選手の獲得と活躍も手伝って、セ・パの人気の格差は接近した。


2004年選手会のNPB側への要求。

1.メジャーが導入している贅沢税の採用
贅沢税....Luxury Taxと言い、選手の年俸総額が定められた額を超えている場合、その球団から税金を徴収。徴収したものを経営の脆弱な球団に回す制度
2.高額年俸選手に対する年俸減額制限の緩和。
3.プロ野球ドラフトの完全ウェーバー方式化。
4.フリーエージェント選手移籍補償金の廃止。
5.新規参入球団の加盟料60億円譲渡から参加料30億円への見直し。
6.コミッショナーによるテレビ放映権の一括管理。


3.のドラフト制度の「改革」が、ファンにとっての関心のある事柄ではあろう。そして、現在プロ野球のドラフト制度は、1巡目が各球団の獲得希望選手を指名し、競合すればクジによる抽選で、クジが外れた球団はまた1位を指名、競合すればまたクジを引き、各球団に1位選手が振り分けられるまで繰り返す。そして、2巡目以降がウェーバー制で(交流戦の合計勝ち数で負けたリーグの最下位球団から順に選手を指名)という方式をとるようになった。

この方式は、かなり安上がりだが、効果的な「改革」と言える。完全ウェーバー制にした場合、怪物と呼ばれるほどの実力を持った選手がアマ球界に現れた時にペナントレース終盤になって、敗退行為により最下位になる球団が現われる事を防ぐ意図が含まれており、つまり、最下位になりドラフトの「1番指名権」の獲得を狙う球団が出る事も考えれる事からの制度と言える。敗退行為の可能性は否定できないので1巡目だけ複数球団指名選手を抽選にするのは理に適っているうえ、ドラフトをショーと考えても抽選は残したいであろう。

他の要求も、1.の贅沢税の導入、6.の放映権一括管理の問題を除き、NPBも選手会も、ほぼ満足できる譲歩により一定の「改革」が進んだと言える。


-中央から地方へ-

贅沢税とは、かつて高い人気と豊富な資金を駆使できる読売球団に限られていた事による主要なテーマであったが、新媒体のソフトバンク、楽天のように、各地域でのファンの後押しに支えられ、旧媒体読売以上に豊富な資金を動かすことのできる親会社も現れ、贅沢税導入を主張も小さくなってきた。

こうして日本のプロ野球を見渡してみると、11年には「清武の乱」と呼ばれる読売内部の騒動が起こり、13年には「飛ぶボール問題」や、15から16年にかけては野球賭博問題が起きるが、WBC、06年と09年の2度の優勝もあり、04年の「大騒動」以降、破壊しては再生し順調な運営を見せているようにも思える。




中央集権的読売主義の崩壊


-「野球離れ」の声とは逆相関-

観客動員推移


球場の観客動員数は順調に増加傾向で推移し「野球離れ」との声とは大きく矛盾している。「Jリーグの方が人気がある」という通説も、この点においては事実と違う。

丼勘定だった観客動員数の正確な計測が始まったのは2005年シーズンからで、この年824万人だったパリーグの観客動員数は、11年後の2016年シーズンには35%増の1113万人に達した。ちなみにセリーグは1165万人から1384万人なので19%増である。

余談であるが、2004年のプロ球界再編から、旧媒体読売・中日両球団にとって逆風となる。それは、新媒体球団の参入であり、逆指名制度の廃止。ウエーバー制導入。読売は厳しいのではないか。


-首都圏視点で語り過ぎてないか-

ようするに「読売戦のテレビ中継」が圧倒的な人気番組でなくなっただけで、野球そのものを観なくなったわけではない。「読売戦のテレビ中継を見なくなったから日本人は野球を観なくなった」という説は、首都圏視点過ぎるし、ネット民がテレビ視聴率に右往左往し、批判ありきで利用するのも少し違和感を感じる。テレビなど嫌いなのではなかったのではないのか。

話を戻します。最近まで、セリーグ球団を中心に読売戦ありきで、そこから入ってくる莫大な放映権収入にあぐらをかいていたのも事実で、ドル箱が年々望めなくなったことにより、各球団は必死に改革をせざるをえなくなる。

それが、前述の改革であり、とりわけ、2005年にパリーグから始まった球団改革によって、各球団は着実に地域に根差した。ローカルでのテレビ中継は、確実に二桁の視聴率を確保できる高視聴率番組であるがゆえの悩みで、地元ネットワーク各局は全国ネットの番組との調整に苦慮しているとも聞く。これは、地方球団ほど地域密着が進んでいると言えるし、意識高い系サッカーファンもこの点は好意的であると思う。




JリーグがNPBを革新する


外部リンク
丼勘定から実数風発表へ手口が巧妙になっている観客動員発表

と言う話もある。が、批判ありきであるなら、情報を如何ようにでも利用して対象を批判することは出来る。僕も野球は好きだが高野連に違和感を感じるし、Jリーグに応援するチームは無いが日本代表戦はほぼ観戦している。相撲は観ないが相撲道くらいは理解もしている。競馬も好きだし、部活動ではバレーボールなどもしていた。

競技は違えどアスリートにおいて通ずる普遍性と言うものがある。当然、競技者をリスペクトしてこその理解であり、他競技を理解する事により、己の好む競技の理解とならないか。つまり、ひとつの競技だけでの理解とは理解とは言えないという事。他競技を腐す行為とは、己の好む競技を腐す事とかわらない。好む競技のアスリートもそれは望んでもいない。

理解でも、批判でもいいから、競技場に観戦しに行けばいい。気にいらなければヤジればいい。テレビ観戦やネットで完結では理解したことにはならない。そして、その理解での批判なら受け付けない。

サッカーの地域密着型や、野球の地方分権の流れは、その土地土地のスポーツ好きにもいい影響を与えていると思う。これは、Jリーグが地域密着型をNPBに示してくれた事によると理解している。この件においては、某読売オーナーとも戦ってくれた。そして、この流れは2004年の球界再編で一先ずの決着をみせ、野球は地方でも息づき始めた。JリーグがNPBを革新させたとも言えないか。

反面教師とはそう言うものだ。そもそも、Jリーグが先に日本で発足していたら如何であったろうか。恐らく、日本特有のガラパゴス的な発展をしたのだろうと思う。勿論、歪んだ発展の仕方だ。どこが読売役を買うかは知らないけど、ヴェルディあたりか。

いずれにせよ日本において、野球とサッカーは表裏でどちらが欠けても、上手くいかない。やはり、相手がいてこその己の理解であるから批判ばかりすべきでは無いと考える。


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