保守思想を考えてみる...

2017/09/19更新


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保守思想とは




-保守とは-

連綿と続く長い歴史を通して作られた伝統にこそ人々の知恵と合理性があり、なお、その歴史を通して築き上げてきた制度や社会を打ち壊して新しく作り替えるという発想に疑問を持つ思想と言える。つまり、人間の理性の限界性をわきまえ、なおかつ、その理性に対する疑いを持つのが保守思想であろうか。

自分をわきまえ、有史以来続く人々の英知に重きをおき、新しく作り替えるリスクを犯すまいとする思想と言える。


-保守思想で重視する事-

歴史の中で個人が果たすべき役割と責任を重視し、先人により伝えられたものは、連綿と続く歴史を通して培われ、その長い歴史の検証に耐え、生き残ってきたものである。その普遍性に対し現代に生きる我々個人の知恵などは、それに遠く及ばない。先人より伝えられ検証にも耐え抜き残る、今あるものに極めて価値があるはずだと考えるのである。

したがって、先人より伝えられたものを後の人々に伝えることが個人の果たすべき役目で、最も重要な責任であると考えている。ただ、先人から後の人々に伝えるにあたっては、自らが改善することを否定するものではない。

伝えられたものに価値があるのは、数多くの先人が改善を積み重ねて、検証、精査してきたからで、改善の否定とは、伝えられたもの自体の価値の否定につながる。

ただ、伝えられたものは極めて価値があるものなので、改善と言っても根本的に変えるようなものもある筈も無く、現代に生きる我々個人の知恵など及ぶはずも無く施す改善とはごく小さい。それは、そのまま先人を畏敬する事にもつながる。

すなわち、保守思想を信条とする者にとって、後の人から見て、連綿と続く長い歴史の中で培われた価値を、受け継いできた数多くの先人の一人として叙されることを最上の名誉と誇りであるととらえ、喜びとするのである。


-保守と宗教-

保守とは合理的であり、一方では宗教との相性も良い。精神性に重きをおく事とは不合理であり、宗教とは不合理的ともいえる。が、そこに美しさを求め、それはそのまま先人に対する敬意にもつながる。

歴史や伝統文化に対する敬意、先祖への尊敬などは、歴史ある宗教と容易に結び付く。それは、欧米ではキリスト教と、日本においては神道、それはそのまま、天皇陛下との結びつきとなる。

特に日本においては、天皇陛下への尊崇を保守にとって不可欠なものと考え、もしくは、陛下への尊崇から保守思想が始まると考える思想家も少なくない。陛下に対する異なる考え方に対して不寛容であり、そのような考え方の違いから分裂することも多い。


-保守と天皇-

保守思想を志向するものは、日本人はさかのぼれば、天皇を中心とする一つの家族であるとする。一つの家族であるから、両親が子どもを思うよう、天皇は国民を思い、子どもが両親を慕うよう天皇を慕うのが当然だとされる。

また、国家と国民との関係は、まず国家という大きな枠組みがあって、その中で初めて個人の幸せが考えられるとする。従って、家族が家を守るために一生懸命になるのと同様、国民が国家のために犠牲になるもいとわないことを当然の義務とされる。そして、それ自体の正当性となる。

現在、自民党の政策とは、小泉政権以来アメリカ的な保守主義を強め、新自由主義の名のもとに競争原理、市場原理こそ正しいとばかりに小さな政府を推し進め、一方では、憲法改正を打ち出し、日本において、連綿と続く歴史を通じて培った伝統、つまり、政治的には天皇制であり、精神性においては神道、仏教、儒教、武士道などの復権をも目指している。

一方、日本の革新を自認する人々とは、人が生まれながらに平等だと説く時代にも関わらず、なぜ天皇という特別な存在を認めるのか。天皇制などは必要ない。廃止すべきと主張する。

対して、保守主義の人々は天皇制を擁護する。天皇制はこれまで、常に日本が陥った混乱から日本を救い、明治維新などがそうであるのだが、日本を統一するための中心として機能してきた歴史がある。

日本社会が平民だけの世の中であるなら、例えば、士農工商すらなく秩序が保ちづらければ、争いが生じやすい上、なお長引く可能性すらある。そこに天皇という「血の伝統」を振りかざせば、誰もがひれ伏さざるを得ない。

天皇制とは日本が混乱に陥ったときの「保険」として残すべきという主張もある。
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日本の保守、革新



■天皇制・神道
【保守】維持する.....日本の連綿と続く伝統であるし、保険としても必要である。
【革新】廃止する.....平等の世の中なのに、特別な存在も必要ない。

■国家と個人の関係
【保守】公.....個人より国家を重視
【革新】個.....国家より個人を重視

■国家の役割
【保守】小さな政府を志向.....民間に任せ、経済や社会政策に出来る限り関与しない。財政規模縮小を目的とする。
【革新】大きな政府を志向.....経済や社会政策に積極的に関与し、市場にも積極的に介入するので財政規模が大きくなる。

■重視する価値観
【保守】自由.....競争社会、弱肉強食
【革新】平等.....競争の制限、優しい社会であるが惰性になりやすい。

■税金
【保守】安い.....小さな政府、福祉などにも関与しないので財政規模が小さい。
【革新】高い.....大きな政府、出来る限り関与し、高福祉になるが、財政規模が大きい。

■軍事力
【保守】軍事力強化
【革新】軍事より福祉

■政党
【保守】主に自民党など
【革新】主に共産党、社民党
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日本とアメリカの保守思想



国家と個人の関係が日本とアメリカでは逆転している特徴を示す。

アメリカでは国家より個人が重視されるのに対し、日本においては、国家とは天皇を頂点とする日本人家族であるとして、個人よりも国家のほうが重視される。

ただ、自由を重視するはずの保守主義ではあるのにも関わらず、個人の自由よりも国家の進歩、最優先を重視する事となる。それは、国家の為であるならば、個人が犠牲になる事もやむなしと言う、共同体重視の発想に繋がり、結果、個人が不自由である事にも繋がってしまう。

逆にアメリカの保守主義とは、国家より個人を重視する。小さな政府、自由競争の社会、なお、税金は安いほうがよいので、財政規模も縮小する。全体に整合性が取れている。
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日本における保守思想



自民党のいう保守とは自由経済を守るという保守である。当時の日本はソ連、中国という共産圏に地理的に近く、アメリカや西側諸国が信奉する資本主義陣営に所属し反共の防波堤の側面があった。

そして、戦後共産党、社会党が合法とされ、保守政党も乱立する事態となっていたが、1955年社会党右派、左派が合併し与党第一党となる。その事態に危機感を覚えた財界の要望もあり日本民主党と自由党が合併し自由民主党となる。

自由民主党は与党第一党となり、社会党に政権交代するまで、いわゆる55年体制が続くこととなる。自民党とは決して明確な右派政党でもなく、自民党内にも様々な思想の議員がいるのは不思議なことではないのである。それは、対アメリカに関しても、対米追従や自主独立に考えが分けれるのも当たり前の事とも言えるのである。


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